2015年5月末、文科省から国立大学へある通知がされました。
いわゆる「文系学部廃止・削減」論です。18歳人口がバブル期に比べ約半数となっていること、そして政府が「職業教育学校」設置の答申を発表したことが背景にあります。
文系学部軽視・実学偏重であり、大学本来の役割を失うとの声が高まっています。一方、現政権の成長戦略である理工系強化を、産業界のニーズと絡め賛同する声があるのも事実です。
そんな変革に目を配りながら、子どもの大学・学部選びに向き合う必要があります。
1年で55,000人が退学している?!
日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、私立大学550校で1年間に約55000人が退学しているといいます。
そして退学して他の大学に入り直したいと考えるのが最も多いのが、入学直後と言われています。
また、退学理由のトップは進路変更であることは、大学・学部選びをより真剣に考える必要性を示唆しているとも言えます。
ベネッセ教育総合研究所の山下仁司氏による調査研究によると、偏差値帯・学部系統別では図1のような分析結果があります。
偏差値帯との相関は見られないものの、社会科学系が比較的高いことが見て取れます。山下氏は「社会科学系系統は、専門への興味ではなく、大学進学そのものが進学の目的の学生が比較的多いため」と分析していますが、実に的を得た指摘ではないでしょうか。
さらに山下氏は人文社会科学系学部に絞って、大学の志望度と退学意向の相関を、偏差値帯別に分析しています(図2参照)。
図2から、「大学志望度よりも、学部志望度が低い方が、退学意向の割合が高まる」ことが読み取れます。
例えば、大学は第1志望に進学しても学部が第2志望だった場合と、大学は第2志望でも学部が第1志望だった場合では、後者の方が退学意向は低いということです。
つまり、大学名で選ぶよりも学びたいことや学部で選ぶことが重要になるということになります。
様々な理由があるにせよ、せっかく努力して手に入れた大学への切符が、実は違う切符だったということにならないために、まずは情報収集をすることからスタートです。
高1の夏から受験は始まっている
高1の秋には文理選択を決定する高校が大半です。
となれば高1の夏には文理問わず情報収集を急がなくてはなりません。まずは情報収集をする際のポイントを確認していきましょう。
1.どんな職業に就きたいのか
ここから考えることはとても大切です。
どんな職業に就きたいのか、その職業で何を成し遂げたいのかなど、将来のことを考えてみましょう。
その上で、その職業と学問の繋がりを理解しましょう。専門的な資格が必要なのか否かで、選ぶ学部も変わってきます。
2.学びたい学問は何か
専門的な資格が必要なかったり、希望する職業などがまだわからなければ、学びたい学問は何かを考えてみましょう。
好きな教科から考えてみるのも手です。
ただし、それを学問として学ぶべきか、それとも趣味の範囲に留めておくかは考えることも必要です。
受験への親の関わり方
「大学生が振り返る大学受験調査」によれば、6割近くの親は見守ってくれたとする一方で、4割が情報収集や資料取り寄せを手伝ってくれたとされています。
何はともあれ、まずは親子で大学を調べてみましょう。
次回は文系理系の学部について紹介したいと思います。
出展:
図1・2は以下より転載http://berd.benesse.jp/koutou/topics/index2.php?id=4131
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