翼をください・・・
誰もが一度は願うことだ。
未来につながる翼が欲しい。
受験生は誰も願うことだ。
自分の願い、思いを、翼を広げて、大空いっぱいに飛んでいく。
そんな翼が欲しい。
イカルスの翼
重い鉄の塊の飛行機が、なぜ大空を飛ぶことができるのか。
「ベルヌーイの定理」ってなんだろうか。
「揚力」と「翼」はどんな関係にあるのだろうか。
ギリシャ神話に出てくる「イカルスの翼」を知っている人は多いだろう。
牢獄に閉じ込められたイカルスとその父親が、牢を脱出するために考案したのが「空を飛ぶ翼」だった。
父親は、鳥の翼を模してイカルスに翼をつくった。
「大空に飛び立ったら、太陽に近づいてはいけない。羽根は蝋で固めてあるから、熱いところに近づくと蝋が解けて墜落してしまう」
しかし、自由で嬉しくなったイカルスは、どんどん高度を上げてしまった。
その結果・・・父親の忠告を守らなかった。
彼の翼はバラバラになり、墜落してしまったという話である。
これは、若い人の未来・注意事項と読み替えることができる。
また人間の傲慢さへの諌めとも、IT過信への警告ともとれるが、その話は、別の機会にすることにしよう。
イカルスの翼。
戦争の中で、発達した「翼」
レオナルド・ダ・ビンチが考案研究した飛行機は「空を飛ぶ鳥の羽根の構造」をモデルにしたものであった。
が、ライト兄弟になると、鳥から離れて、「有人・動力」で飛ぶことを基本としている。
鳥のように「追い風」に乗って飛ぶのではない。
ライト兄弟は「向かい風」で、人間のピストン運動で、「動力」で飛んだという記録であり、そこに価値があった。
宮崎駿の「風立ちぬ」は、空へのあこがれをテーマに堀越二郎氏をモデルにした映画だった。彼は太平洋戦争で活躍した「ゼロ戦闘機」の設計者である。
映画は、微妙な部分を残したまま終わったので、中途半端感を拭うことができないが、それは商業アニメ映画だから、仕方ないだろう。
このように、これまでの飛行機の発達は、「戦争」を抜きにして語ることができない。
第1次世界大戦で開発されたばかりの「プロペラ機」は、敵陣の偵察飛行を目的にしていたので、空中で、敵・味方の区別なく、すれ違うとハンカチを振っていたというエピソードが残っている。
のどかなものである。
しかし、私が尊敬する高校の先輩先生は、元空軍中尉であった。
先生の第二次大戦中に体験した「空中戦」の話は怖かった。
また、知人で、ゼロ戦の指揮官だった人の話は悲惨であった。
そこに「空への憧れ」は、完全になかった。
ピカソのゲルニカという有名な絵画も、ベルリンから往復可能な「レシプロエンジン」の燃料と飛行距離と、搭載できる爆弾の重さを計算して、ピレネー山脈を越えたばかりの中堅都市ゲルニカを選び、爆撃したという話が伝わっている。
真実は知らないが、多分事実だろう。
ゲルニカは、市民を巻き込んだ無差別爆撃をピカソが非難した絵画で有名である。
1937年・パリ万博で発表したこの有名な絵画も、観点を変えて飛行機の発達からみると異なる発見がある。
真実は、わからないことが多いが、学習課題として提示しておきたい。
プロペラ機はピストン運動を基本とした構造だから、いかに早く、いかに高く、いかに遠くまで飛ぶことができるかが、設計者として工夫したところだと聞く。
第2次世界大戦では、「ジェットエンジン」が主流になり、制空権の争奪戦となった。
それが、ドイツ・アメリカを中心とした「ジェット戦闘機」の発達を促進した。
多大な経費をねん出できる国家が優位になった。
資金面でアメリカが有利だった。
それは、今も変わらない。
だからいま「ステルス戦闘機F35」についても、無関心でいられない。
翼をください。
「重たい鉄の塊の飛行機が、なぜ大空を飛ぶことができるのか」
それを「揚力」で説明する理論がある。
「ベルヌーイの定理」である。
スイスの数学者ベルヌーイが発見した定理である。
航空工学の分野では、異なる見解もあるようであるが、原理は非常に分かりやすいから紹介しておきたい。
興味を持った人は、自分で調べることを勧めたい。
飛行機は、右手に翼への「憧れ」を、左手に「戦争」の両翼を持って発達してきた。
いま私たちは、イカルスのように、調子づいていると「核戦争」に巻き込まれ、人類全体が撲滅する危機に直面している。
怖いことだ。
・・・翼をください。
人類の繁栄と発展のための翼をください。
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