新しいテストの形態がほぼ決まってきた
2020年からの「共通テストの概要」が判明した。
どのように変わったのか。
どんな点に注意しなければならないか。
いや、すでに今年の大学入試・高校入試・中学入試を見ると、出題の傾向や切り口が著しく「変化」していることが分かる。
恐ろしい変化である。
全国の学校は、この変化に対応しようと必死になっているが、うまく機能するか不安である。戸惑いは、公立校も私立校も同じである。
正確な情報を確保し対応策を講じなければ「受験バス」に乗り遅れてしまう。
では、新しく見えてきた「共通テスト」について整理しておこう。
今、最も注意すべきこととは?
もっとも留意したいことは、このテストは「学習指導要領の改訂」とリンクしていることである。
ということは、どんなカリキュラムで、何時間、どんな教科を学校の授業で行うかということに繋がっているということだ。
しかし、学校では、時間不足でとてもやり切れない。
どこで、誰が、補てんするか?
校外の教育機関である多くの中小の塾・予備校は情報を確保できていない。
放置されたら、不幸になるのは生徒たちである。
もう少し砕いていえば、新学期を迎えて、小中学校もテンヤワンヤである。
例えば、「小学校で英語」の授業を行うと決まったが、とても時間確保が困難である。
指導者の確保もままならない。
これまでの教科の何かを削って、英語と入れ替えなくてはならない。
それができないならば、休み時間を短縮したり、無理矢理に、朝・夕に指導時間をつくったりするしかない。週5日の時間数では、とてもさばき切れない量である。
児童・生徒だけでなく、指導する先生たちの負担も増加する。
やりきれない部分はやがて放置されるだろう。
生徒も保護者もたまったものじゃない。
中学校でいえば、社会科の授業は、日本史・世界史・地理・公民の「総合」して授業を行うことが要求される。
だから、「授業の構造化」が要求される。
私も何度か取り組んできたが、とても難しいことだ。卓越した授業者であれば可能であるが、普通の教師ではとてもこなすことができない。
教師の力量をアップすると言えばカッコいいが、授業はそんなに簡単ではない。
私が、このメッセージに書いているようなことを、普段の授業で、当り前にこなさなくてはならないのだ。
ましてや、こうした学習の、積み重ねを経験しないまま「新高1年生」は、2020年の入試に立ち向かわなければならない。
見切り発車した制度改革だから、家庭でしっかりフォローするしかないが、できない生徒は、能力のある・なしを問わず混乱の中に投げ込まれることになる。
抱える課題は深刻である。
抑えておくべき5つのポイント
さて見えてきた「大学入試共通テスト」のポイントを整理しておこう。
① 国語・数学で「記述式問題」が導入される。
2024年度から、地歴・公民の分野や理科でも導入されるだろう。検討中だ。
記述式の問題練習は、高1から取り組まなくては共通テストに対応できない。
② 英語では、共通テスト+文科省が認定した「4技能の検定試験」の受験が義務付けられる。利用方法は大学に任されるが、私立大学も反応するだろう。採点では「全体の10点程度が多い」ようである。大学の判断次第である。
③ 推薦・AO入試においては、「小論文・プレゼン・教科・科目に係るテスト」と「共通テスト」のうち、いずれかの活用を義務付けられる。志望者は「学びの報告書」などが求められる。「志望理由書」の書き方の演習が必要。
④高校では「調査書」の記載内容を丁寧にするようになるので、部活動の記録・ボランティア活動など、高1生から記録を残すことが重要になる。
出願時期も、AO入試は9月以降になるし、合格発表の時期も、これまでより遅くなるだろう。日常の学習活動が重視される。日々の生活を大切にしたい。
⑤より詳しく言えば
・「共通テスト」は1月中旬の2日間である。これまでと変わらない。当初は、2回受験とかが議論されたが、すべて消えてしまった。
・出願方法・出願教科は現状と変わらないが、受験料は上がるかもしれない。
出願手続き方法は、今後発表されるだろうが、大幅な変更はないだろう。
・プレテストでは記述式の「自己採点」が試行されたが、かなり改善したものでなければ混乱するだろう。実施については不明なところが多い。
・国語の記述式…80~120字程度を3問程度。古文・漢文を除き、100分に延長。マークシート問題と記述式が混在されて出題される。
・数学の記述式…数1・数1Aで出題。数1の範囲を3問程度、マークシート問題と記述式が混在させて出題される。試験時間は70分に延長される。
・英語…高3の4月~12月に民間試験を2回まで受験。高得点を利用する。
事前の練習をやって、「慣れる方」が高得点を引き出すだろう。業者によるテストはLEADESTが準会場になっている英検など8種類である。
業者間のテストのバランスは、CEFRの段階値評価にそうことになっている。検定料金は未決定であるが安くないはずである。出題範囲は「コミュニケーション英語Ⅰ」「コミュニケーション英語Ⅱ」「英語表現1」となる。
・ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語による受験も可能である。最近は、中国語・韓国語の受験者が多いようである。
今後の傾向と普段の意識改革を
平成29年度中に、プレテストを実施してきたが、平成30年11月10日~11日の間に予定されている「本番に向けてのラスト試行調査」には留意しなければならない。
プレテストで試された特徴は「複数のテキストや資料をみながら」必要な情報を組み合わせ考えたり、「日常生活と結び付けた実践的な問題」が取り上げられたりしていたので、この流れが基本になるだろう。
日常生活の中で、いろいろなことを組み合わせて考える練習をしていきたい。
参考例は、この「私のメッセージだ」と思えばイメージしやすいだろう。
大学入試は全国一斉の「共通テストばかりではない」
当然、大学別の2次学力試験がある。東大などの難関大学は、これまで通り共通テストより、「2次テストを重視」するだろう。
早・慶・上智などの私立大学の出題も基本は変えないだろうが、文科省の流れに沿って出題の内容・傾向を変えていくだろう。
すでに、今年の大学入試問題が変化していることに注意すれば理解しやすい。
さらに具体的に考えると、「グローバルな教養を問う問題」としては今年「ムーミン」の出題が話題になったが、静岡大学の英語で「パディントン」が出題されている。
映画を観た人には予測できて答えやすかっただろう。
この流れでいえば、次年度以降は、世界的に有名なアニメや漫画・童話からの引用問題が教養に一環として出題されるかもしれない。
「マザーグース・ミィフィー・ディズニーアニメ」などである。
またホーキング博士の宇宙論や、今年の「ラジアンの定義」(数学)が出題されたように、公理・定理を原点から理解しているかどうかを問う出題や、長い橋橋の長さ・山の高さを予測させる出題も記述式の中に含まれるかもしれない。
新しい流れは、次の入試でもっと拡大するだろう。
新高3年生・新2年生には、救済措置が取られるだろうが、浪人したら不利になると考えていい。
現役合格を目指して、必死に勉強するのが最善の策であると、私は考えている。
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