人に好かれる4つの原則

私たちはいろんな基準をもって生きている。

 

あの人は、背が「高い・低い」

味付けは「甘い・辛い」

買い物の基準は「高い・安い」

いや品質が「良い・悪い」

 

では、行動の基準で、一番大きなものは「好き・嫌い」じゃないかと思う。

 

誰かに好かれようと思っても、単純に好かれるものではない。

好かれることは難しいが、嫌われることは簡単である。

 

「誰かに好かれる」ということには、それなりに理由があるはずである。

 

それは何か?

 

(1) 相手の本音に寄り添うこと

人間は他人のことには関心を持たない。

 

ひたすら、自分自身に関係することのみに関心を持つ。

だから、相手が関心を持っていることに寄り添って、むき合うことが「好かれる原則の①」である。

 

「きれいになりたい」と思っている人に、政治・経済について話をしても通じない。

ダイエットに関心を持っている人に、美味しい食事の話をしたら嫌がられる。

 

人間は、自分自身に係ること、関心を持っている話題には飛びつくが、そのほかのことには反応しない。

 

最大の関心事は「自分自身」である。

自分に関心があることに反応し、行動する。

これは恥ずかしいことでも、遠慮することでもない。

いつも自分に関心を持っていることが「自分の存在理由」だから。

 

昔から杉本さん(仮名)は、いつも不平・不満を私にぶっつけてくる。

私は「あなたは正しい。だから間違っている」という。

 

自分の要求に、すぐに応えてくれないという不満だからだ。

自分は正しいといっても、相手のためにならなければ、ついてこない。

いつも「私」の基準が正しくても、「相手」は反応しない。行動しない。

 

杉本さんの視線はいつも自分自身に向いている。

自分のことに関心が強くて、他人のことにはほとんど関心を持たない。

 

人間は自己中心の動物である。

が、これを露骨に示すからうまくいかない。

有能で、良い人でも人気がない。

 

人間は「自分を大切にしてくれる人を好む」。

この原則に沿って行動することである。

 

 

(2)笑顔であいづちを打つ。

誰もお説教をする人より、よく話しを聞いてくれる人が好きである。

知人の山川さんの人気は、他人の話をよく聞くからである。

 

聞いたからといってその通りにするわけではない。

先日の会議でも、タイミングを見てしっかり方向性を示していた。

だからまとまりが早い。

山川さんは、誰が、どんな関心事をもって会議に出席するか。

事前にしっかり調べている。

テーマに関心が薄い人には、積極的に「発言の機会」を与えて出番を持たせている。

そして、チームから離さない。

笑顔を絶やさない。

 

「相槌」は頷くだけで良い。

誠実に関心を寄せていることを表現するからである。

誰だって、純粋に関心を寄せてくれる人に好意を持つ。

ペット犬と同じである。

これが「好かれる原則の②」である。

 

齋藤先生は「名前を覚える」のが早い。

これも誠実な関心の寄せ方の1つである。

決して「あの子」とか「この生徒」とは言わない。

必ず固有名詞で呼ぶ。

これは齋藤先生だけではない。

企業の上司でも部下でも「名前を呼ぶ人」が好かれる。

他人行儀の壁を破るからである。

 

学校の教員はファーストネームをよく使う。

「大谷!」「ショウヘイ!」という具合である。

クンとかサンをつけるべきだという意見があるが、これでは感情が伝わらない。

人間関係の深さを指すファーストネームの呼び方は、外国ではよく使われている。

政治家は意図的に多用する。

 

名前で呼ばれた人は「自分の存在を認められた」と思うから、素直に反応する。

つまらない世辞を言われるより、はるかに心地よいからである。

敬語・丁寧語はあまり使わないチームが強い。

団結力が涵養されるからだ。

 

 

(3)ヨコの関係=「共感」を大切にする。

当たり前のようであるが、誰も「途中で口をはさまない人」が好きである。

 

また、自分に好意を寄せてくれる人と親しくなる。

どんなに正論を言われても共感しない人を避ける。

どんなに隠しても、非難や批判の気持ちは、簡単に先方に伝わる。

目や口もとで感情が現れるからである。

ボディランゲージは、相手を理解する重要な手段である。

「好かれる原則の③」は共感である。

 

教育・育成の基本は共感の姿勢・態度である。

企業の研修の重点は「上位下達」である。

だから「タテの伝達」・「記憶中心」のケースが多い。

早く仕事を理解し・即戦力になることを期待するからである。

しかし研修に時間をかけるわりに効果が上がらない。

理由は、「共感」を中心に置かないからである。

 

ほとんどの場合、一般社員は実践業務の中で必要なことを学習する。

最近は、研修の形を変更してきた企業が目立つ。

「よしやってみよう」という共感を引き出すための工夫である。

自由とは「ヨコの関係」の広がりを指すことが多い。

学校教育は「ヨコの関係」を大切にする。

しかしタテ軸が定まらないヨコ軸の研修は非効率である。 

(4)議論をして勝とうとしない。

議論に勝っても、相手に好かれない。

だから嫌われる議論をしないことだ。

 

人間は感情の動物である。

論理を理解しても、人は動かない。

納得したふりをして最低限の役割しかやらない。

むしろ、穏やかに話すことに留意して、「説得」より「思いつかせる」ように誘導する方が賢い。

できるだけ「議論をしないで、良好な関係づくりに留意する」ことが「好かれる原則の④」である。

 

営業先で議論したら商品は売れない。

情報も入らない。

面談は議論の場ではない。

好きにならなければ、どんな仕事も進まない。

 

友人の藤原さんは「議論好き」で言い争いばかりしている。

議論に負けないことが自慢らしい。

しかし、どんなに議論に勝っても実績は出ない。

成績は上がらない。

みんなが協力しないからである。

むしろ反発され嫌われてしまう。

「挑発が相手を傷つけている」ことに気づいていないからである。

 

彼は、議論をして、相手の弱点を指摘し、説得することに重点を置いている。

だから、感情的になることが多い。

「話合い」だといって、実際は「押しつけ」が多いから感情的になるのだ。

 

自分の誤りは素直に認め、相手の欠点を指摘しない方が賢い。

非難したり、相手を否定したりする会話は、人間関係を破滅させる。

これでは好かれない。

 

どんなに偏差値が高くても、権力を持っていても、他人から「好かれない人」が起こした事件をマスコミは大々的に報道している。セクハラ・パワハラ・スメハラ・マタハラ・・・。悲しい。哀れである。

 

五木寛之さんや下重暁子さんの「孤独が良い」という本が売れているようであるが、それはインテリで「芯が強い人」の言うことだ。

私のような一般大衆は、温かな人間関係の中で「好かれて生きる」のがいい。

佐藤愛子さんの著作には「生きる知恵」が書かれている。

生命を輝かせる知恵である。

彼女は孤独ではない。