LEADESTが大学入試の指導に、これまで以上に積極的になるという。
「入試センターテスト」は、2019年1月19・20日であるという公式発表があった。
初日は「地理歴史・公民」「国語」「外国語」、2日目「理科」「数学」。
出願期間は2018年10月1日~12日。
検定料は、3教科以上18000円、2教科12000円である。
詳細は、自分で調べよう。
今回は、自己採点方式はどのようにして行われるか。
大学ごとに行われる「自己採点」・「2次試験」を中心にまとめて行こう。
センター試験はどう変わるのか!?
入試センターテストは、マーク式だから「50万人以上の答案を短期間で採点」するのに適している。
いや、コンピューターを使って、スピードよく、一斉に作業するのでなければ「選抜試験」に使えない。
集計結果は、各大学にデータとして提示される。
大学は出願者を確認して「1次試験」の成績として使う。
使い方は大学に任せている。
本来、このテストは国公立大学が主体となって、共同作業として企画されたものだからである。
マーク式では、「思考力や判断力がつかない」という批判があって、2020年の入試から国語・数学で「記述式」を一部分採用することになった。
入試改革の提案が始まった当初は「1点きざみではいけない」・「段階値が良い」・「複数回実施しろ」・「基礎的なテストと2つを並行実施が良い」などと多様な意見があったが、いつの間にかその全てが消えて、「記述式を一部採用」というオチで現在に至っている。
「理念」にそった「技術」が伴わないことが主な理由だろう。
が、「採点の仕方」などいまも検討課題が残っている。
現在の「IT技術」で、50万以上の平等な採点が、スピードよくできるか。
大いに不安と疑問が残るが、どうなるのか注目するしか仕方がない。
また、マーク式でも「答えが複数ある問題」も検討されているという。
これまでにも小さく実施されてきたのでやれないとは思わない。
しかし、理屈通りやり切れるかわからない。
これまた「不安」が残るが、「流れ」に合わせるしかない。スピードよく、平等な採点ができなくては「選抜試験に使えない」。
どこまでできるか。どのような結論になるか。
方針は11月に行われる「試行テスト」の結果を見てから出すのだという。様子を見ていこう。
この問題は今年・来年の受験生には直接関係ない。が、受験生はもちろんのこと、保護者や先生たちは変化に注意しなくてはならない。すでに、センター入試問題に「設問」などで変化が起きているからである。
進研模試や市販のテキストには、具体的な「変化への対応」がみられる。ぜひ確認しておきたい。
「たかがセンター、されどセンター」である。
入試問題は、大学・学部のアイデンティティ
国公立大学の入試は「1次試験」と「2次試験」との「総合力」で合否が決まる。
だから入試は「センター試験がすべてではない」。
むしろ、2月25日を中心に行われる大学ごとの「2次試験」が重要である。
2次試験は記述式である。
「入試問題は、大学・学部のアイデンティティを示す」と考えていい。
どんな問題を出して、どんな学生を入学させたいか。各大学の「求める学生像」がイメージされて出題されるのが筋である。
現実は、そんなに甘く・理想的でない。が、少なくともその理想を追っている大学があることは事実だ。
しかし、京大・阪大など超一流大学に「入試問題の不備」が発覚し、社会問題になったこともあって、「学内で作問すること」を憚る風潮が強くなったという。困ったことだ。
入試は選抜試験だけが目的ではないはずである。
アイデンティティから離れた入試問題は邪道であると私は考えている。
しかし・・・。
では、どこが作問を引き受けるか。アメリカのように、ハイレバルの「作問専門企業」が日本にない。
模試の作問も大学・高校教員が作成しているものが多い。
少なくとも現状は、「作問と学校現場の連携」が保たれている。
余談だが、PISAの問題は、OECDが作っているのではない。
専門業者の入札で、現状はアメリカの会社が作った問題を使用しているはずである。
ハイレベルの知的労働者が、この分野でも要求されている。
しかし、「それ相応の待遇」を用意しなければ人材は集まらない。日本にはそのシステムがない。
日本の大学入試もグローバル化の声の下で変容するだろう。
つまり、外国人が日本の入試問題を作り、大学のアイデンティティに拘らない出題が多くなる時代の到来である。
これは遠い問題ではない。特に、理・数関係は難しくない。
国語・日本語だけが課題になるだろう。
良問を作り続けなければ、生徒が困る。学校現場が混乱する。難問・奇問が流行するからである。
センター試験の自己採点システムを知っておこう!
2次試験の前に、まず「どの大学に出願するか」が問題になる。
ここで大きな影響力を持つのが「自己採点」システムである。
入試のデータの収集・加工・発信のシステムを持っている業者は2つだけである。
すなわち「ベネッセ・駿台」と「河合塾」だけである。他の業者は、これを上手にアレンジして使っているに過ぎない。
以前は、代ゼミも実施していたが撤退した。駿台はベネッセと協働している。
膨大な経費と人材が必要だからである。採算が合わないものは企業に適しない。
「ベネッセ・駿台」は、全受験生の80%をカバーしている。「河合塾」もこれに近い。
入試センター試験が終わったら、各学校は生徒に「自己採点」を実施する。
その成績結果は全国一律、離島・辺地校を含めて、スピードよく集められて、データベース化される。
雪が降ったり、交通が渋滞したりしたら大混乱する。
短時間にデータを整理・分析して、受験者一人ひとりを対象とした「合格可能性の判定」を行う。
隠れた膨大な作業であるが、これが進学指導の基幹である。この仕事を2社が請け負っている。
「判定」には、模擬テストで計ったデータや、これまでに蓄積した既卒生のデータ、地域の特徴などいくつかの要素を組みあわせされる。
このデータ処理にそって全国の高校が「出願指導」を行うので、業者の責任は重い。
傾斜配分・圧縮点・前期定員・中、後期定員・昨年から変わった点などを考慮する。
傾斜配分とは、教科の「重みづけ」である。
圧縮点の典型は東大である。定員は文系と理系の差異を考えれば分かり易いだろう。
まさに専門職の仕事。猛烈な作業量である。個人情報の集まりだから、慎重に慎重を期す。素人にはタッチできない。
その作業の凄まじさを超えて、数日後には「返却作業」に入る。
結果は、ベネッセは「コンパス」で、河合塾は「バンザイ」というシステムで、全国に発信される。
このシステムなしでは、生徒の出願指導はできない。
全国で開催される報告会には、沢山の学校・先生たちが参加する。
勿論、「校内データ」にそって進学指導・出願指導を進めている学校もある。が、首都圏私立高校など「トップ進学校」など、全国を観ても「数は少ない」。システムに精通していない学校・先生の場合は、生徒の「自主性を尊重する」という名目のもとで放置している。こうした高校が意外と多い・・・。
判定を「A・B・C・D・E」で出されるが、「ベネッセ・駿台」の判定と「河合塾」の判定の出し方が異なる。
「同じではない」ことに注意しなければならない。
自己採点方式をスタートさせる時に、「業者間で統一しなかった」ことが、現在まで尾を引いているのだが、いまさら統一は不可能である。使用する人が注意するしかない。
学校の先生たちも理解していない人が多い。
「共通テスト」になったらどうなるだろうか?
2020年から、「自己採点をテスト内に含ませる」と,システム改訂の準備を進めているが、「段階値評価」をどのように埋め込むか。見通しがない。いまから工夫するしかない。昨年のプレテストではうまく作動していなかった。
私は「自己採点の新しいシステムの開発・構築」は難しいと思っている。
大変不安であるが、現在のシステムを残しながら、改訂作業を進めることが現実的であると思っている。
現在動いている「自己採点システムを廃止」したら、全国の高校の進路指導はできなくなる。
大学も動かなくなる。
こうした「基盤整備」を早急に進めなければ、生徒が「不利になる事故」が起こるだろう。
2023年から、共通テストから英語を外し、民間テストに完全移行するという。
つまり<英語4技能テスト>に移行するといっているが、よほどの「技術開発が進展」しなければ、民間8社を平等に扱うという理想は実現しない。。こうしたことをしっかり理解しておかなくてはいけない。
今年・来年は、これまでの自己採点方式が作動するから、この流れをしっかり理解し、有効に活用することでよいだろう。
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