2019年度入試はこうなる!? ~後編~

⑥ 工学部の志望者は、専門・専攻に注意すること

工学部は多額の施設整備・運営費がかかるので、国立大学に設置されていることが多い。

私立大学は早稲田の理工学部のような伝統校もあるが、必要経費の関係でなかなか努力が強いられることが多い。アメリカのように、寄付金がたくさん集まればよいのだが、日本の風土になじまない。

 

全国をみると、豊田工大のように、小さいけれど充実した専門性の高い大学もあるし、東京理科大など、優秀な人材を輩出している大学もある。受験生は、国公立・私立を問わず「勉強するテーマ」に沿って進学先を決めていくことを勧める。

 

むかし「国際」「環境」という学部名のある所に人気が集中したことがある。

また「福祉」「観光」という名の同じネーミングであっても、「全く異なる学問」を勉強するのが現状なので、入学してから「こんなはずではなかった」ということがないように注意したい。

 

現在は「IT」・「情報」と名前を付ける大学・学部が受験生を集めている。

「募集要項にITの名称を前面に出したら、受験生が大量に集まった。講義に変更がないのに」と笑っていた人がいた。

これが現実である。。しっかり準備しよう!

 

⑦ 国公立大の志望者は例年通り。後期日程まで粘れば、何とかなる。

大学受験は「なにしろ粘るべき」だ。

高校受験と違って、見方、考え方、情報によって、どのようなチャンスもあるからだ。

人生と同じく、「窓口は多様」である。しつこく、自分に最適な大学・学部を探す。

好奇心と意志さえあれば、受験はいろいろなことを教えてくれる。挑戦はチャンスを呼ぶ。

 

国立大学は「後期募集を廃止する」流れが強い。

試験があっても、募集定員は少なく、面接や小論文を課すところが多い。

手間ひまもかかるし、後期入試に適している「人材の発掘」がままならないからだ。

それより、「推薦・AO入試の募集人数を増やす方が良い」という判断が強いからである。

 

それを「逆」に捉えたら、2019年度は「後期試験で合格確率が高い」といえる。

資料によれば、後期の「欠席率」が非常に高いからである。倍率なんて関係ない。

早期に、入学手続きを済ましてしまうより、「3月入試まで粘るべき」である。私立大学など、いくらでもチャンスがある。

実際に入学してしまえば、みな同じ。しっかり、目的を達するまで頑張ればいい。安易な妥協にならないように注意しよう。

そんな強さと「覚悟」をもって勉強に取りこもう!

 

⑧ 地方大学の「医学部」は入学しやすくなったというが、実際は甘くない。

大都市では、医者も歯医者もあまっている。

しかし地方では、医者不足が深刻である。小児科医・産婦人科医が足りないとよく聞く。

過疎地域・離島の医療が住民にとって生命線であるから厳しい。

医学部へ進学することは「どのような生き方をするか」に直結するから、改めて覚悟が必要である。

 

地方自治体はいろいろな奨学金制度を設けて、地域に定着してくれる医者の確保に躍起である。

だから、多方面から「医学部は合格しやすくなった」という声が聞こえてくるが、現実は甘いものではない。地域医療への貢献、専門医不足、過疎化・少子化対策で課題が多いからである。

私には親族・教え子で医師を職業としている人がたくさんいるが、日々の生活は甘くない。

 

「どうしても医者になりたい」という医学部志望者がいる。

研究医・臨床医の区別は別として、家庭の事情や将来の夢、社会への貢献など「志望理由」は、多様である。

最近よく聞くのが、大都市の私立中高一貫校の出身者が地方の国立医学部に多いという声である。

この場合は臨床医である。

私立大学医学部医学科は多額の経費が掛かるから、どうしても国公立大学を志望する人が多いのだという。

自治医大や防衛医大の設置目的を無視した受験生がいるので「面接」を重視しているとも聞く。

 

大都市出身者は、卒業したら「大都市に戻りたいと願っている」という声も聴く。

医学を学ぶ窓口は広がったが、ラクに進学できるほど甘くない。国家試験も控えている。

他人様の生命「弱点」を補う職業だから、医師としての「適性」に留意して進路を決めなくてはいけない。

 

国立大学の医学部医学科に比べて、私立大学医学部で学ぶための経費は高い。卒業するまでの経費は、約1億円~8000万円といわれる。医師を一人養成するには、それだけの経費が掛かることも、この際憶えておきたい。医師になるための模擬試験もある。臨床医では特に必要なスキルをマスターするためのものである。受験は「入口」だけでなく「出口」をしっかり考えて選択することが必要である。

 

⑨ 東大「再現答案」を見る。

東大の「合格」「不合格」答案を比較してみる機会を持った。

当然、すべての教科科目に精通しているわけではないので、専門知識を持っている仲間たちと共に、データを分析したのである。

 

東大の場合は。文系でも理系でも「数学」がキーである。採点者に「伝わる答案」を書いている人が「合格」で、独りよがりで「解いたぞ!」という答案は「不合格」である。比較してみると明解である。

他の大学でも記述式の答案は、「読み手」「採点者」がいることを意識して伝わりやすい答案を書く必要がある。「英語」ができるのは当然だか、<主語―述語>がハッキリしていて、「日本語として正しい」文を書くことが重要である。京大も他の大学も同じである。

 

合否の分岐点は社会科・理科の「2科目目」である。1科目は確実に差がつかない。「2科目・目」で差がついている。理科では「物理」とか。東大は、センター試験は790/900 が出願ラインである。これは例年と変わらない。

2019年度も89%の得点が分岐点だろう。東大はセンターが「圧縮点」になるので、2次学力の勝負である。競争率3倍も変わらない。

 

受験者は、「すべて今から」が勝負であることを意識することだ。

合格者は「夏季休暇中の学習時間は400~600時間が平均。」である。

 

目標をもって、いかに楽しく、逞しく勉強することができるか・・・。

 

⑩ 受験は人生の通過点に過ぎない。

世界は広く、人生は面白い。

ただし、好奇心をもって、逞しく生きる意欲を持っていることが基本でなくてはならない。

 

2019年入試の対策について、7月までは「不得意科目をなくす」ことに努めよう。秋風が吹くころになると、誰もが勉強する。その時では遅い。焦るだけである。成績も伸びない。その時嘆いても始まらない。

 

日大を始め、私立大学も、国公立大学も「変化の兆し」が見えている。

どんなことにも動じないで「逞しく生き抜く力」が求められている。

 

いま、サッカーのW杯で盛り上がっている。どの試合も、最後のロスタイムまでもつれあって勝負が見えない。受験も同じである。諦めるのはいつでもできる。

最後まで粘った人が勝利する。頑張ってほしい。

 

LEADESTには、まだ余力があるはずである。

生徒も保護者も講師の皆さんも頑張って成果を出してもらいたい。