大坂選手が、全米テニスオープンで、女王セリーナを撃破した。
この背景に、日本テニス協会の綿密なデータ分析・コーチ支援があった。
9月23日(日)は中秋の名月だった。
公園のベンチで、女房と2人で、まん丸く輝く月を見ていたら、
竹取の翁と別れて月に帰っていく「かぐや姫」の牛車が見えた気がした。
最近、私は30年~50年後の日本をイメージする議論を進めている。
最大の課題は、IT/AIに立ち遅れた「日本の未来」である。
30年・50年なんて、すぐに来てしまう。時の流れは早いのだ。
今回は、「近・未来」について考えてみたい。
スポーツ界にみる緻密なデータ分析
大坂選手の快挙は、超高速サーブなど、彼女の実力に負うところが多い。
が、意外と日本テニス協会のデータ分析が大きな支援になっていたことを知らない人が多い。
映像とデータのリンクで
「セリーナへのサーブはボディを狙うと効果的だ」とか、
「サーブとリターンコースはここが有効である」という具体的な情報提供から、
「選手の立ち位置で映像を確認すること」
「サーブのコースを読みやすくすることで、効果的な攻撃ができること」など、
試合の前・後で確認することが勝敗を分けることがある。
また女子ツアー大会では「オンコート・コーチング」という制度も採用されている。
チェンジコートやセット間に、短時間、コーチがアドバイスできるシステムである。
こうしたことも知っておきたい。
錦織圭選手のテニスの試合をテレビで見ていると、試合の合間に、サーブしたボールの着地点とか、リターンの位置を映像確認することがある。
その分析データの蓄積が、試合に影響することを考えれば、簡単に理解ができるだろう。
水泳の池江璃花子選手のトレーニングも、陸上の桐生祥秀選手・山縣亮太選手のトレーニングも、綿密なデータの集積の下で行われているという。
ちなみに、水泳と陸上では「鍛える筋肉の質」が異なるそうである。
こうしたデータと分析が、選手の食事管理など、育成に活用されている。
あらゆる分野に広がる人工知能(AI)の運用
いま、日本の主要企業の6割が人工知能(AI)運用に欠かすことができないデータが不足していると日経新聞が伝えている。
商品開発、事業開発などでAIの用途は広がっているが、この根本をなすデータが不足しているという。
私の勉強仲間たちによれば、「データを分析できる人材」の方がもっと深刻に不足しているという。
スポーツの分野だけでなく、教育・土木などの分野で「データ・人材」が不足しているという。
このままでは、プラットホームビジネスで、アメリカや中国に遅れを取り、30年・50年後の日本は深刻な事態になるという。
受験生は、こうした「学ぶ目的と意義」を意識して進路決定をしたい。
受験生たちが活躍する時代が、確実にすぐに来るのだから・・・。
医療系でいえば、例えば「活動量計」である。
アルゴリズムで集積されたデータにより、歩行・運動量・心拍測定・カロリー計算・睡眠状態の評価ができる廉価な機器が開発されている。
これがスマホと連動したり、ウエアラブルで出来たりしているのだから、私たちの日常生活に影響するのは当然である。
いわゆる「ICT健康機器」であるが、これからドンドン普及・浸透していくだろう。
AIを搭載したタクシーが売り上げを伸ばしているという。
携帯電話から得られる人の分布、車両の運行履歴、付近の施設や気象データを掛け合わせたものを活用するというのである。大都市では、特に影響が大きいという。
Googleをはじめとして日本で利用されているIT系の商品の多くは、PCやスマホを通して、海外のものが多いという。
AIなど大量のデータがあることを前提にしているものはアメリカや中国が多いと聞く。
ということは、海外勢の商品にデータがとられている現状では、なかなか新しい良いビジネスが、日本ではできないということである。
それ以上に「使える人材」が不足しているという。
いわゆるゲーム開発・Webページ開発・データ開発分析・IoT商品・セキュリティなど各種プログラマ―の不足である。なお、ビジネスではサイバー攻撃に耐えられるプログラム開発が要求されるが、人材が足りない。
そこで、文科省は2020年からの改訂学習指導要領で「プログラミング教育」を必修としたのであるが、いかんせん遅すぎる。
また、小学生からの「指導者が不足」している。
現状では、小学校の先生が指導者になれるレベルでない。
民間企業を含めて、指導者の育成こそ急務である。
困ったことである。
観点を変えて、生命保険会社などが蓄積している「個人データ」と、病歴、家族のデータ、保険金の支払い実績に、「遺伝子による病気リスク診断」を重ねるとどうなるか。
数か月前に、私の文章から、IBMのワトソンを利用して、「性格診断」をしたが、AI分析に驚いた。
自覚していること、多くの人が指摘していることと近い内容だったからである。
「自動運転」の自動車は、すでにメーカーで開発されていると聞いているが、交通事故の責任は、運転者にあるのではなく、「製造者責任」になることを想定して、市販されないとも聞く。
損害保険会社も様々な観点から検討しているという。
が、こうした変化に即応した法整理などが極端に遅れている。これでは、海外勢に対抗できないのは当然である。
中秋の名月を眺めて
さて「中秋の名月」とはどんなことだろうか。
なぜ、私たちは「月見団子」を作り、お月見にススキを飾るのだろうか。
西欧では「月をめでる」風習はないと聞く。
なぜ、日本の伝統・風習の中に、お月見が残っているのだろうか。
札幌に住む友人が「不謹慎だけれど、ネオンが消えた夜空に星が光っている」というメールを送ってきた。
災害の中で発見した光明である。
忘れていたものが返ってきたような感じがした。
「かぐや姫」は羽衣を着た途端に天女になって、月に向かって去っていったと「竹取物語」は書いている。
日本的な情緒は「シンデレラのカボチャ馬車」では味わうことができない。
日本情緒は日本文化である。
月探索機の「かぐや」は「おきな」「おうな」の主衛星と2機の子衛星で構成されていたと聞く。
今後、30年、50年後はどうなるか。
実際は、すぐそこの話なのである。
「受験勉強の向こうにあるもの」をしっかり捉えて、学力の向上に専心する時である。
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