ハリーポッターの映画を観たことがありますか。
小説を読んだ人もいるでしょうね。
この中で、第一作の「賢者の石」が特に傑作だと、私は思っています。
ファンタジックな魔法の世界。
実は、「こうありたい!」と願っている「夢」と「希望」が満載です。
空飛ぶ箒に乗って行うゲームとか、秘密を知ろうと図書館に潜り込むとか。
「賢者の石」は、物語が最後に行きつくところですね。
その過程で、いろいろな実験があったり、友情があったりですね。
今回は「科学と可能性について」考えてみましょう。
卑金属を貴金属に換える方法
私たちは、錫とか鉛とかいう「卑金属を貴金属に換える方法」はないかと思いますね。
だから、ギリシャ神話のミダス王にように「手に触ったらすべて金になる物語」がでてくるのですね。
愛娘に触れたら、わが子まで金になっちゃった。金がすべての価値だという基準の否定ですね。
「非金属」ではありません。「卑金属」ですよ。間違えないように・・・。
ギリシャ神話と同じ流れではありませんが、中世になると「錬金術」がキリスト教会の中で流行します。
これは、修道院の一室で実験を重ねて「貴金属をつくろう」という試みです。
教会や修道院の中に実験室が設けられていたのです。
これは最終的に「賢者の石」を作り出そうという試みでした。
現在の「化学」の発達は、こうした試みの積み重ねの中で生まれたのですね。
有名なニュートンは、偉大な科学者・数学者であり、歴史上最高の頭脳の持ち主だといわれますが、彼の隠れた一面は「錬金術師」だったのです。
オカルトの研究者でもあったのです。
「科学と魔法は表裏一体」でもあるのです。
ハリーポッターの中に「変身の薬」が登場しますね。
貴金属を作り出す実験の一部は「薬」を作り出す作業がありました。
草や木を混ぜ合わせて有効成分を取り出す。これは、現在も行われている薬のつくり方の一部です。
漢方薬は、草や木を乾かしたものを擦ったり、混ぜ合わせたりして造りますが、それと同じ仕組みです。
ちなみに、中国では練炭術といいます。
卑金属から「金や銀のような貴金属」を作り出す作業と、「薬」を作り出す作業の「根っこは同じ」だということです。
物語の中で生き続ける「魔法」
皆さんは学校で化学記号・化学式を学びますが、これはすべての化学の出発点ですね。
大学で学ぶ時になったら、いろいろな「学際学問」があることが理解できるでしょう。
古代ギリシャ・ヘレニズム時代は、高度の科学が発達していました。
特に、エジプトのアレクサンドリアにあった「王立図書館」には、70万冊の蔵書と共に、世界の科学者が集まっていたそうです。
しかし、アルキメデスやプトレマイオスらが集まった、研究センターの「ムーセイオン」がなくなると、科学の殿堂が再興されることはなかったのです。
その後、キリスト教が普及するとともに、この「一神教」に属さないものは排斥されました。
「魔法」もその中の1つです。
北欧のムーミンのような「妖精」も「魔女」と共に否定されました。
しかし、民話の中にしたたかに生き残りましたね。例えば、シンデレラ・白雪姫にも魔女が登場しますね。
また、最近では、ディズニー映画の「アナと雪の女王」も、魔法の話ですね。
古代ギリシャの科学は、イスラムの世界で保存され発達し、イベリア半島からヨーロッパに輸入されました。
卑金属から貴金属をつくるという化学も、矛盾しているようですが、キリスト教会・修道院の中で研究されてきたのです。
「賢者の石」も、こうした世界で研究されていたテーマの1つだったのです。
ハリーポッターの物語は、人間界ではできないことをたくさん描いています。が、「ドラえもん」と同じく、IT・AIの発展とともに、魔法ではなくなっていく技術が沢山開発されています。
現代はまさに魔法界そのもののようです。
人工知能や遺伝子操作は、不可能を可能にし、見えないものをみえるようにする。
「魔法界」と「現実界」の境界がなくなり、指針すら見えなくなっているようです。
これが現代の科学だということができるでしょう。
「賢者の石」は人間が永遠に生きることができる「生命の石」です。
いまや、科学はクローン人間を作り出すまでに達しています。
旧約聖書・創世記では、人間を「生命の木」から遠ざけるために、アダムとイブを「エデンの園」から追放したと記されています。
しかし「知恵の実」を食べた人間は科学を発展させ「生命の木=賢者の石」に手が届くところまで達してしまいました。
皆さんの時代には生命倫理をしっかり確立しないと、混乱します。
しっかりと、知性を磨く勉強をしてくださいね。
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