日本の神話は面白い!

「日本の神話」というと、何かしら古めかしい、わかりにくいという気持ちがはしりやすいですね、。

 

それに、きな臭い政治的な臭いがプンプンして・・・。

 

だから、ギリシャ神話のような面白さ・親しみを感じない人が多いですね。

 

でも、これは大間違いです。

とても面白いです。

 

「令和」になって、『万葉集』・『古事記』・『日本書記』に関心が集まっていますから、この機会に『古事記』を基本として「物語」として解説してみます。

 

日本のはじまりと神話

ギリシャ神話の神様たちが、オリンパス山で暮らしていたように、日本の神様たちも天空(高天原)に住んでいました。

ある時、下界を見て、ここにクニを造ろうということになりました。

担当したのは、「イザナギ」と「イザナミ」という男・女2人の神様でした。

彼らは、混とんとしている天地をかき混ぜて日本の島々をつくりました。

 

こんなところから、日本が始まるのです。

高天原はどこにあるのか。

そこで神々はどんな生活をしているのか。

諸説がありますが、神話ですから究明しようがありません。

 

ここでイザナギ(男神)とイザナミ(女神)は、たくさんの神様を生みます。

目から・口から・耳から・・・ありとあらゆるところから神様を生みます。

やたらに多くて数えきれないくらいです。

だから(八百万の神=ヤオヨロズ)です。

 

ちなみに、お稲荷さんの狐は「神様の使い」であって、神様じゃないですよ。

狸は、神様の使いになっていません。

 

イザナミは、最後に「火の神様」を生んだので死んでしまいます。

恋女房に死なれてホトホト困ったイザナギは、黄泉(ヨミ)の国へ行って妻を連れ戻そうとします。

が、すでに死者になり、変わり果てた姿になっていたイザナミは「醜い姿」を見られたと激怒し、イザナギを追いかけます。

 

美人をうぬぼれていた高齢女性のスッピン顔を覗き見した夫が「ミタナ~~~!」と妻に追いかけられるようなイメージです。怒られちゃうかな(笑)

 

やっとの思いで逃げて、「日向の橘の小戸」の阿波岐原というところで、黄泉の国を訪ねたためについてきた「穢」(ケガレ)を、水に入って流します。

これが「禊」(ミソギ)・祓い(ハライ)のスタートです。

「水に流す」のですね。身を「清める」のです。

その途中で、左目から生まれたのが天照大神(アマテラス)、右目からツキヨミが生まれるのです。

鼻からはスサノオが生まれます。

 

やがてアマテラス(姉)とスサノウ(弟)が大喧嘩して、姉が怒って「天の岩屋」に隠れてしまいました。

このエピソードは知っていますね。

岩屋のまえでドンチャン騒ぎをしたので「そっと」岩戸を開いてみたら・・・というお話です。

 

自然科学の観点から言えば「皆既日蝕」ではないかといわれますが、太陽神のアマテラスの崇拝される理由につながりますね。

 

日本の神話の面白さとは

日本の神話はユーモアがあって親しみ易いです。

アマテラスは孫の「ニニギ」を高千穂におろして葦原中国を治めさせようとします。

 

ニニギは「オオヤマズミ」という神様の娘2人を差し出されますが、ブスのイワナガヒメは帰し、美人の「コノハナサクヤヒメ」と契を結びます。

1回の契りだけで妊娠したので、ニニギは不倫を疑います。

怒ったコノハナサクヤヒメは「産屋」に火をつけて死にます。

サクヤヒメは桜の精ですから、桜は美しいが直ぐに散ってしまうことと繋がるのですね。

 

この辺のドラマティックな展開は、日本の神話のヤマ場ですから、自分で調べるといいです。

産屋とは、出産のための特別な家です。・・・ホテルでも病院でもありません。(笑)

 

この時、コノハナサクヤヒメが産んだ子供が「海幸彦」「山幸彦」ら三柱の神です。

この兄弟対決のドラマは、昔の教科書に載っていたり、絵本にあったりしますから知っている人が多いでしょう。

浦島太郎の話と繋がるという人もいます。

青木茂さんの絵画が有名ですね。観たことがある人がいるでしょうね。

その後、勝利した山彦の孫が「神武天皇」につながるという展開です。

 

一方、あまりの乱暴で高天原を追放されたスサノウは、今の出雲に降りてきます。

彼は、怪物に食べられそうになっていた「クシナダヒメ」のために、上流の大蛇を倒すことになります。

「ヤマタノオロチ」の話です。

上流のたたら(製鉄・鉱山)を開発している人々が、下流の稲作民にとって大切な「水を汚す」ので困っていたという水争いがベースにあるのでしょう。

スサノウは、ギリシャ神話のヘラクレスに似ています。

やたらに強いです。

 

頭と尾が8つある大蛇を倒し、尾っぽから「鉄製の剣=草薙の剣」を発見するのです。

この子孫に「オオクニヌシ」がいるのですね。

「因幡の白兎」(イナバのシロウサギ)で知っている人が多いでしょう。

 

私は、宮崎駿さんの「もののけ姫」はこんな話を下敷きにしていると思います。

「千と千尋の物語」も、日本の神様オンパレードでユーモラスにして明るいですね。

宮崎さんのアニメ、手塚治虫さんの「火の鳥」は日本神話をベースにしていますね。

 

やがてスサノウ系の出雲に、アマテラス系の神様が「国譲り」を要求し、現在の出雲大社の原型ができます。

神話としてお話はまだまだ続きますが、今回はここまでです。

 

神話ですから、民俗学・考古学・思想・立場・史観などによって解釈が変わってきます。

だから、これ以上は私の出番ではありません。

 

 

近くの神社にはどんな神様が祀られている!?

私の自宅近くにある神社の祭神は3柱です。いずれも女神さまです。

主祭神は「木花咲耶姫命」(コノハナサクヤヒメ)です。

境内の桜は見事です。全国にサクヤヒメを祀る神社が沢山ありますね。

日本のビーナスは清廉潔白です。

日本人は桜が大好きです。

 

「左」に祀られているのは「宇迦之御霊神」(ウカノミタマ〉です。

この女神様は、「穀物・豊穣の神様」です。特に「稲の神」として、諸国で祀られています。

いわゆる「お稲荷さん」です。

秋祭りには、収穫したお米などを供えますね。

宇迦の女神さまに感謝するのです。

その土地で出来たものを供えるのですから、バナナとかパイナップルを供えてはいけません。

ギリシャの女神デメテルと同じです。

大地の恵を人々に与える神様です。

 

「右」に祀られているのは「彌都波能売神」(ミズハノウメノ)です。

簡単に言えば、「水神」です。

近くに流れる大井川を鎮める神様とも考えられます。

この女神さまは、母(イザナミ)が最後に出産した「火の神様」のために死んでしまった時に「尿と共に生まれた神様」だと言われます。<尿=水=肥料>です。全部つながってきますね。

ギリシャ神話の地母神ガイアのような存在です。

 

読者の皆さんの近くの神社には、どんな神様が祀られていますか?

 

日本の神話に出てくる神様と、その背景を知ることは、日本の伝統・文化を知る意味で重要なことです。

 

日本の神話は「固有の文化」です。

ギリシャ神話やエジプト神話などと共通する「普遍的な面白さ・楽しさ」をもっています。

私たちの周りに、異なる伝統文化を持った人々が居住する時代が来ました。

ここで、あらためて日本の神話について知識をふかめることは「共生」のためにも意義深いことです。