いま、夜空の星が美しい。
田舎に住んでいるから、近くの公園に散歩に行く。
ネオンサインも、人家の明かりもない地域だから、夜空に星が光っている。
「あれがオリオン座だね」・「銀河が輝いている」なんて女房と会話をする。
「・・・やがて僕らは、どこに飛んでいっちゃうだろうね・・・」
銀河系の小さな星に過ぎない地球なのに、いま瀕死の状態になっている。
環境問題は、すでに、一つの地域、一つの国の問題でなくなってしまった。
このままじゃ、宇宙船地球号は生き残ることができない。困ったことだ。
そこで「環境問題の歴史」を振り返ってみることにする。
かけがえのない地球
小・中学生の皆さんは、教科書で「公害」について学習したと思います。
足尾銅山、水俣病、四日市公害とかを突っ込んで勉強したでしょうね。
何が原因でどのような被害が起こり、どんな対策が要求されたか。
まだ、未解決な問題が多いとか、田中正造氏のこととか・・・。
高校生は「沈黙の春」(レイチェル・カーソン著)を読んだことがありますか?
環境問題の必読書・原点になった本です。
最低、「寓話」で書かれた文章は知っていてください。
DDT・農薬の危険性を訴えた本ですね。
いま、発展途上国は、経済発展の代償に、深刻な公害問題を抱えていますね。
「貧困が最大の公害だ」という人もいますが、地球温暖化防止の「パリ協定」までの歴史を整理してみましょう。
「宇宙船地球号(Spaceship Earth)」という考え方は、1963年にバックミンスター・フラー(米)という思想家が提唱しました。
これは、「地球上の資源は有限」であり、適切な使用をするべきであるという考え方でした。
その後、約10年経過して1972年に「人間環境宣言」がスウエーデンのストックホルムで開催された国連人間環境会議で採択されました。
ここで「Only One Earth」という言葉が使われたのです。
日本では、これを「かけがえのない地球」と翻訳しました。すばらしい訳語だと思います。
しかし、このことばが「いまだ定着していない」ところが問題ですね。
せっかく、この地球の大切さを確認したはずなのに、30年以上が経過した「いまも現実は深刻さを増すばかり」ですからね。
同じく1972年に「ローマクラブ」から『成長の限界』という報告書が出されました。
資源と地球の有限性に着目し、「このまま人口増加と環境汚染を続けたら100年以内に地球上の成長は限界に達する」という内容でした。SDGsの考え方はこの延長線の上にありますね。
SDGs(持続可能な開発・発展)は、「開発」と「環境」が対立するものではなく、共存しえるものとして捉え、環境保全を考慮した「節度ある開発」を提案するものです。
今年度の入試問題に関係しますから、しっかり調べておくとよいでしょう。
「持続可能な開発」を目指して
環境保全は「先進国のエゴ」だ。
「途上国は貧困から脱出」するために、やむを得ず開発を進めているのだという主張があります。
これが「南北問題」です。地球の北半分は先進地域で、南半分は開発途上であるという対立ですね。
例えば、ブラジルの熱帯雨林を伐採開発することを考えてみましょう。
ブラジルは伐採を通して「貧困からの脱出」を志向しました。
しかし熱帯雨林の伐採は、地球全体の気象のバランスを保つうえで重要なことで「開発するべきではない」という意見の対立です。
1992年に「持続可能な開発」をテーマにして開かれた地球サミットはブラジルで開催されました。
そこで、開発と保全のバランスを「リオ宣言」という形でまとめました。
その実践行動計画を「アジェンダ21」として採択しました。
日本の「環境基本法」もこれにそってつくられています。「環境型社会」の考え方です。
もはや1国、1地域だけでは、地球環境を守ることはできないと考える人が多くなったのです。
政治家も経済人も、マスコミ人・芸能人も声を出すようになったのです。
アメリカでは2006年にドキュメンタリー映画『不都合な真実』が制作されました。
しかし、ことは簡単ではありません。
地球温暖化を押さえるためには、CO₂などを減少させなければならないのだけれど、各国の利害がぶつかり合ってなかなかまとまらないのです。
1997年に京都でひらかれた会義でも、アメリカはサインしなかったし、ロシアの動きも鈍かったのです。途上国だという理由で中国もインドも参加していない。
だから「京都議定書」はできましたが、なかなか効果を確認できない状態でした。
そして18年経過しました。
これ以上温暖化を放置したら、地球が潰れちゃう。
「国際的な気候変動に関する枠組み」をつくろうと、2016年に196国家の代表が国際都市パリに集まったのです。
この会議で温室ガスの二大排出国である中国とアメリカも賛成して、ようやく「パリ協定」がスタートすることになったのです。
が、2016年のアメリカ大統領選挙で「アメリカ第一主義」を政権運営の柱に据えたトランプ氏が当選し、2017年6月に協定から離脱することを表明したのです。
トランプ氏は「地球温暖化は、丁稚あげだ」とまでいっていますが、実際は、アメリカの経済政策を優先しているのです。
「宇宙船地球号」はどこに飛んでいってしまうのでしょうね。
銀河系を飛び越して、宇宙空間の塵にもならないで、自爆してしまうのでしょうか。
環境問題は、政治や経済と密接な問題がありますから、簡単に解決がつきませんが、このままでは、地球も人類も破滅してしまいます。
私たちは、日常生活の身近な問題として、積極的に考えなければならないですね。
これからも、学校で学び、入試にも出題されるでしょう。
コメントをお書きください